【小論文】
<東大が求めているもの>
あくまでも他校との比較だが、大量かつやや複雑な情報を短時間内に一気に処理する能力が求められてるようだ。東大のウェブサイトから過去問注文できるし、少し古い過去問であれば参考書も出てるので、解いてみるとわかるが、問題文が長い、で、コンセプトが分かりにくい、でもって、とにかく時間がない。
2013年時の構成としては、要約問題が半分を占めるので、書く字数自体は少ないので短時間で間に合うように思える。だが実際は、あくまで経験上だが、字数制限がない自由記述より、かなり制限字数が少ない要約のほうが、書くのに時間がかかる。後半の自由記述問題も、ようやく書きたいことを書けるかと思いきや、かなり厳しい字数制限がかかってるので、超シンプルに全体をまとめないと、尻尾がうまくまとまらずに時間切れとなる。
<私の場合とアドバイス>
本番では、とにかく、時間配分を最優先した。どこにどれくらいの時間をかけれるのかを振り分け、そこから逆算して、それぞれのパートを片づけていく感じ。自分の場合は、どのポイントにどれくらいの字数を割くかということも同時に配分するようにしていた。例えば、イントロに50字、主張に150字、理由づけに150字、結びに30字、とか。何よりもまずは時間内に解答用紙の8割程度が無難に埋まってることを重視した。次に中身だが、要約部分については、問題文をマクロ的に流しよみして、一番言いたいことは何なのかってことを、2~3センテンスくらいで書いた。とはいえ、一言でまとめすぎて、字数の60%くらいしか埋まらなかった問題もあったが、変に加筆修正しようとすると文意がずれそうだったので、そのままほったらかして、とにかく時間がないので、次へ。後半の自由記述部分では、ちょっとだけ論理的にひねって面白い主張をするように心がけた。が、これもやりすぎると論理破綻するので、あくまでも基本姿勢は保守的に徹して、余裕のある範囲で冒険する程度にとどめた。あとは、2点くらい論理的な理由づけを展開し、主張を締めくくる。結果的には逆に焦って書きすぎて、10分以上時間が余ってしまった。字数のあまった要約問題を多少手直しして、あとは時間が来るのを待った。
本番の現場では、上記のとおりだったわけだが、多少時間があまったので、要約あたりはもう少し丁寧にやってもよかったのかもしれない。でもとにかく、時間内に書き終えることが最重要である以上は、完成度は無視して先に進むしかない。常に心がけていたのは、9割の質を目指すと悩んで時間を消費してしまうから、「わざと」、質を落として、6~7割の質で最後まで解き切ること。ある意味、きちんと書こうとしないことが、きちんと書くコツかもしれない。
小論対策としては、1年目のときに予備校で答練講座を受けていたので、2年目は、参考書と過去問でやりくりした。ロー未修用小論文対策参考書なんていうニッチな書籍は数冊しかないから、ここに書くまでもないし、全部買ってもいいくらいの冊数かと思われる。ただ、注意点は、東大の小論は他の私立校の問題とかなり異なるので、先に試験のある私立の方で、慣れすぎてそこで安心してしまわず、東大用の対策が別途必要であること。また、東大の過去問にしても最近のやつは昔のとは傾向が違ってきてるから、東大のウェブサイトで、現金書留のみ受付でかなりめんどいが、最新の過去問を早めに取り寄せた方がよい。解説がないのが痛いが。でも逆に、市販の参考書には解説あるが、載っている過去問の傾向がすでに古いので参考にするには頼りない。予備校の講座で東大の小論過去問を練習するようなコースもあるようだから、余裕があれば受けるのもよいだろう。ここでも、未修用の情報の少なさにむなしくなる。最新の傾向を網羅した解説付き過去問参考書が随時出てほしい。
具体的な勉強の進め方としては、予備校の講座や論文の書き方の参考書、あと、過去問の解説を読んで、ある程度、小論文というものがどんなものか、どう描くのか、ローの小論テーマはパターンとしてどういうものが出ているかを把握できたら、あとは、時間計って練習するのみ。ちなみに自分は文房具屋で原稿用紙を買ってきて、字数制限を気にしながら練習するようにしてた。だから、時間配分と字数配分、この2つの訓練は有益だった。というか、必須。それと、意外と重要なのが、書き出す前の、ブレインストーミングのプロセス。何を書くかをメモした段階で、その論文の内容的な質は決まる。あと、「現場思考」で練習することが大事。「もしこの問題が本番で出てたら、自分は、9割埋めることができただろうか」と考えながらやる。とにかく、どんな問題が出ても、70%の完成度で書き切ることが重要なので、予備校本や参考書解説の100点満点のものは参考にしすぎるべきではない気がした。それらの完成度で書こうとすると、筆が進まないので、利少なく、害が多いことも。
実際に何を書くのかだが、個人的な分析としては、ローの小論文テーマすべてに通じる論点は、「人々が複数集まった時にルールが必要になる、でもそうすると、個人の自由との矛盾が生じる、それをどうバランスをとって解決するか」ということに尽きると思う。まぁ、ある意味法律の原点だが、未修は法律問題を問えないので、そういう形にしてあるだけ。あとは、このテーマが姿形を変え、まるで全く別のテーマであるかのように出題される。で、字数を多く使用すべきなのは、「どうバランスを取るか」という分析部分。「こうこうこういう理由で、こういうふうにすれば矛盾は解消される」という、「こういう理由」というのをいかにひらめくことができるか。
余談としては、小論の勉強はカフェでやってた。家だと、時間計っても、途中で脱落してしまうので・・・。あと、デバイスやネットも不要だから、別に場所を選ばないし。
スケジュール的なことを言えば、小論文対策はある程度できるようになったら、あとは定期的に練習するのみで、法律の勉強に取り掛かってもいいと思った。80%くらい達成したら、残りの20%を埋めようと思っても、時間帯効果が薄い。また、答えのない小論文という性質上、100点満点を取るということは物理的に不可能に近い。だったら、私立の小論試験前くらいから法律の勉強を並行して始めていいと思う。
<まとめ>
東大の小論文は、複雑で多量の瞬間的情報処理能力が求められる。対策としては、完璧を目指さず、どんな問題がでてきてもそれなりこなせるようにすべし。ある意味、どれだけドライに自分をコントロールできるかという心理的な要素がでかい。ある程度慣れてきたら、法律の勉強も始めてOK.